公認会計士と税理士の違い
公認会計士に独占業務があるように、税理士にも独占業務があります。
それは、「税務書類作成・税務代理・税務相談」です。
ただし、公認会計士が税理士登録すれば税理士業務が行えることから、その違いが曖昧にとらえられる傾向もみられます。
公認会計士の業務は、監査法人に所属し、複数の公認会計士で上場企業や大会社等を相手に行う監査業務が主になりますので、試験でも管理会計や監査論や企業法が必須となっています。
一方、独立開業を考えた場合、クライアントは中小企業や個人が主となり、税理士の試験科目である法人税法や所得税法や相続税法といった税法の知識が不可欠となります。
したがって、公認会計士であっても独立開業後は税理士業務が主となり、税法の知識を深く身に付けなければならないこともあるのです。
次に公認会計士と税理士の業務内容の違いについて記します。
|
業務内容 |
対象となる顧客 |
税理士 |
<独占業務>
・税務代理
・税務書類の作成
・税務相談
<その他の業務>
・コンサルティング
・会計業務
など |
・中小企業の税務が中心
(中小企業は、日本で250万社程度あります。)
・個人 |
公認会計士 |
<独占業務>
・財務処理の監査・証明
<その他の業務>
・会計・税務
・コンサルティング
・株式公開支援
など |
・大企業(資本金5億円以上)が中心
(大企業は、日本で1万社程度あります。) |
続いて、公認会計士試験と税理士試験の違いについて記します。
|
税理士試験 |
公認会計士試験 |
受験資格 |
あり |
なし |
試験形態 |
会計科目である簿記論・財務諸表論の2科目と、税法科目(簿記論・財務諸表論・法人税法・所得税法・相続税法・消費税法・酒税法・固定資産税・住民税・事業税・国税徴収法)のうちから法人税法or所得税法のいずれかを含む3科目を選択し、合計5科目を受験。
なお、各科目は、一度合格すれば、その合格は一生有効。
|
まず、5月下旬・6月上旬にある短答式試験(財務会計論(簿記論・財務諸表論)・管理会計論・監査論・企業法)を受験。
短答式試験に合格後に、論文式試験(会計学(財務会計論・管理会計論)・監査論・企業法・租税法の4科目と、経営学・経済学・民法・統計学の中より1科目を選択し、合計5科目)を受験。
なお、短答式試験の科目合格はありませんが、短答式試験に一度合格するとその後2年間は免除が適用されます。
論文式試験は、総得点で合格点に達しない場合に各科目ごとに合否を判定し、基準点以上であれば科目合格となります。合格した科目については、申請により以後2年間当該科目が免除されます。したがって、事実上は、一発合格が要求されます。
|
合格後、登録まで |
2年間の実務経験。
(会計に関する事務などに従事した期間が通算して2年以上あることを必要)。
なお、実務経験の期間は、税理士試験合格の前後は問われません。
|
2年間の実務経験。
(公認会計士または監査法人を補助することや、財務に関する監査、分析等の実務従事を2年以上行うことが必要)。
なお、実務経験の期間は、公認会計士試験合格の前後は問われません。
さらに、公認会計士試験合格後には、日本公認会計士協会が実施する実務補習を受講し、一定以上の単位を取得する必要があります。
さらにその後、統一考査という試験を受験し、合格する必要があります。
|
一般的に、税理士試験よりも公認会計士試験の方が難しいと言われています。
また、公認会計士試験は、平成18年の試験制度改正により、一部科目合格制度が導入されましたが、免除が2年間しか有効ではなく、その間に合格しなければ、再度受験しなければなりません。
そのような試験制度の差もあり、税理士試験は働きながら受験する人が多い反面、公認会計士試験はほとんどの人が無職で受験だけに専念しているという傾向があります。
なお、同じ「実務経験」でも、税理士の実務経験となる要件と、公認会計士の実務経験となる要件は、異なりますので、自分の職場が実務要件に該当するのかは、しっかりと確認する必要があるでしょう。
税理士試験の科目合格や官報合格が公認会計士試験に与える影響
短答式試験についてや論文式試験についてで述べていますが、税理士試験の科目合格や官報合格を有していると、短答式試験や論文式試験の一部の科目が免除されます。
免除該当試験 |
科目免除該当者 |
免除科目 |
短答式試験 |
税理士となる資格を有する者 |
財務会計論 |
税理士試験の試験科目のうち簿記論及び財務諸表論の2科目について基準( 満点の6 0 パーセント)以上の成績を得た者( 基準以上の成績を得たものとみなされる者を含む。) |
論文式試験 |
税理士となる資格を有する者
|
租税法 |
|